高校3年の春、私はまだ進路について決めていませんでした。
ほとんど全員が進学する高校に通っていたので、上の学校に行くのが当り前のような雰囲気はありました。
でも私は、どんな学校に行きたいとか、大学で何を勉強したいとか、はっきりとしたものがありませんでした。
理系・文系とコースがあり、私は一応、文系に入ってはいましたけれども今ひとつピンときていなかったといいますか……。
そうこうしているうちに秋になって、同じクラスで仲の良かった友人が、専門学校の文化祭を見に行くというので、一緒に行くことにしました。
そこは服飾系の有名校で、学生の作品によるファッションショーが行なわれるのが名物なのです。
彼女はデザイナーを目ざしていました。
そこで見たショーは感激でした。
本当に学生が作ったのかと思うような凝ったデザインや華やかな装飾など、眼を見張るものがありました。
そしてそれをきっかけに、私も服飾の世界に興味を持ちました。
彼女のようにはっきりデザイナーなどという具体的な夢があるわけではない、けれどもその分野のことをまずは広く勉強してみたい。
そう思ったのです。
志望校を服飾系の大学に決めたのはそういうわけです。
今は服飾の世界のたくさんの可能性を模索しながら、日夜課題に取り組んでいます。